伝統工法と機械工法(プレカット)
2015/11/26
石井工業㈱が手掛ける住宅は木造在来工法が基本です。
ご契約を頂いた後、地盤調査や基礎工事を経て、上棟に向かう訳ですが、
釘や金物を使わない古くから伝わる伝統工法で手刻みをするやり方の
施工方法があります。
伝統工法の良さ悪さ
こちらの写真は伝統工法で手刻みされた材料で、上棟の際の写真です。
中央の磨き丸太に構造材が四方から刺さりがっしり組まれている訳ですが、
この加工は、機械ではなく、大工さんの手によって作られています。
手刻みで加工された材料は後述の機械で加工されるモノよりも、
しっかりとした接合がなされ、その分建った時の丈夫さが違います。
これが、一番のメリットですね。
このような加工を機械(プレカット)で行うといった発想が無い時代から
行われている大工さんのまさに技です。
では、逆にデメリットは何かというと、
人の手により加工されるので、その分の手間がかかるということです。
基本的に、職人さんの世界では「一日いくら」の日当が普通です。
一般的な30~40坪程度の住宅を手刻みで仕上げる場合、
おおよそ1か月~1か月半くらいの時間がかかります。
プレカット技術の進歩で、合理的な作業へ
これと比較して、機械で加工するプレカットでは、例えば同じ坪数の
住宅を加工するとなった場合、おおよそ10日前後で加工が終了します。
プレカットの最大のメリットは上記の時間短縮で、
プレカット技術の発達により、住宅施工作業の合理化が可能となりました。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、いわゆるハウスメーカーと呼ばれる
業者様は、ほぼ間違いなくプレカットで加工します。
その方が、コストもかからないし効率も良いので。
当社はというと、施工を手掛けさせて頂く物件の種類にもよりますが、
プレカット6割、手刻み4割という具合でしょうか。
ですが、逆に考えると、ここに田舎の材木屋がやっていける
ヒントのようなモノがある気がします。
無くしてはならないモノ。人材と技術。
手刻みで建てる家というのは、前述の通り今のご時世、
少なくなっているというのはお分かり頂けるかと思います。
だからと言って、そのまま時代の流れに任せ無くして良いモノなのか。
そう言われると、そうとも思いません。
都会に本社を置くハウスメーカーに住宅を頼むと、お客様から頂く
何千万とかかる住宅資金の中から、有名人を使ったCMなどの
広告宣伝費が使われます。
仮に同じ住宅資金を当社のような田舎の工務店にお預け頂けるとした場合、
それだけで地元の職人さんに仕事が回り、また、技術も継承していけるのです。
山の木も一緒です。
手入れがされていないからと言って、
木を使わなければもっと山が荒れる一方です。
山武杉という国産材にこだわる理由は、山武杉を継承していくという
意味も含まれること。
それが少しでも、伝わっていければと思います。